【1】皮膚の萎縮(薄くなる) 皮膚が裂けやすく、傷つきやすい。
【2】皮膚の毛細血管壁が弱くなる 紫班、酒さ様(潮紅)
【3】にきびができやすくなる。うぶ毛が濃くなる
【4】細菌やウイルス、真菌に感染しやすくなる
【5】まれに全身的副作用として副腎皮質機能の抑制がみられる。
これらの副作用はいずれもステロイド外用薬がもつ本来の薬理作用が行きすぎた結果起こるものです。そのため、ステロイド外用薬が強いものほど副作用も出やすくなると考えられます。ステロイド外用薬は、塗る部位により吸収率が異なります。頭や首はもともと皮膚が薄く、毛細血管も豊富にあるため、吸収されやすい場所です。副作用との関連も考えると、部位によって塗り方を変える事が必要です。
部位 | 前頭 | 頭皮 | あご | わき | 背中 |
---|---|---|---|---|---|
比率(%) | 6.0 | 3.5 | 13.0 | 3.6 | 1.7 |
部位 | 手のひら | 陰嚢 | 足首 | 足底 |
---|---|---|---|---|
比率(%) | 0.83 | 42.0 | 0.42 | 0.14 |
最近増加傾向にある「成人型アトピー皮膚炎」は,そのほとんどがステロイド依存性皮膚症を合併しているようです。アトピー性皮膚炎の治療でステロイド外用薬を処方された患者さんの中には、ステロイドに依存してしまう方もいるようです。この場合に、急に中止してしまうと離脱による皮膚炎が見られることがあります。しかし、この症状はリバウンドとは異なるものなのです。
リバウンド現象とは、もともとあった疾病の症状が、ステロイドの投与により抑制されていたのに、突然中止または減量したために、もとの症状が急激に悪化して出ることを指します。アトピー性皮膚炎の最大の特徴は「乾燥性であること」と「加齢とともに軽快すること」と言われ、リバウンドの場合は今まで出ていなかった部位にまで皮膚炎が広がって出ることがあります。つまり、アトピー性皮膚炎自体が活動しているのであれば、ステロイドを中止することによりリバウンド現象が起きると言えます。逆に、活動していないのであれば、ステロイドを中止したとしてもリバウンド現象は起こらないのです。
ステロイド依存性皮膚症は、ステロイド外用剤を長期連用しているときに、その使用部位にステロイドの副作用(萎縮,光沢,潮紅,毛細血管拡張)が出現し、ステロイド外用剤を中止するとさらに悪化する(皮疹の増悪,痒みの増強,浸出液増加,痂皮形成など)皮膚の状態を指します。ここで大切なことは、この症状はアトピー性皮膚炎とはまったく別のものであるということです。ステロイドを使用しても、アトピー性皮膚炎の原因が取り除かれないままステロイドを辞めた場合は、「リバウンド現象」と「ステロイド依存による皮膚炎」が同時にみられることになり、皮膚炎が落ち着くまでには相当な時間がかかるものと思われます。
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