アトピー性皮膚炎の中心となる外用療法です。ステロイドは、正しい使い方をすれば、アトピー性皮膚炎の痛み、痒みを短時間で抑えるのには確かにすばらしい効果を発揮します。ステロイド外用薬には3つの作用があると言われています。
【1】炎症作用
炎症の起きている場所で血管内皮細胞やリンパ球などの細胞膜の障害を抑制し膜の安定性に関与します。LT(ロイコトリエン)、PG(プロスタグランジン)など種々の炎症を惹き起こす物質を誘導する重要な酵素の機能を抑制します。
【2】抗アレルギー作用
アレルギー炎症をおこす好酸球やリンパ球の機能を調節する分子群であるサイトカインやケモカインに対する抑制作用がよく知られています。
【3】免疫抑制作用
リンパ球に対する直接的な機能抑制、細胞死(アポトーシス)の誘導により過剰に起きている免疫反応を抑制すると言われています。
ここで、大切なことはステロイドはあくまでも症状を一時的に抑えるのが目的であるということです。アトピー性皮膚炎の根本的な改善の役目はありません。
蓄積性、残留性は認められないという意見があります。ある研究では、数日で皮膚から消失することが確認されました。アトピー性皮膚炎が活動している状態でステロイド外用薬を止めると、皮膚からステロイドが消失し、抑制されなくなるのでアトピー性皮膚炎の活動が現れるのです。皮膚炎が現れたり、悪化しないためには、「使い方・止め方」が重要だといえます。
ステロイドに対して様々な情報があるため、塗り方に対して必要以上に不安になり、怖がって塗っていることが多いのではと思われます。良くない塗り方とは、だらだらと塗り続けたり、症状がないのにステロイドを塗っていたりすることで、ステロイドに依存し、長期連用してしまうことです。当然使用期間が長ければ、それだけ副作用も出易くなります。
【1】「使い方、止め方」に注意すること
【2】あくまでも炎症を抑えるために使われていることを理解して塗ること
【3】根本的な原因(食事、生活習慣、スキンケア)の解決を同時に行うこと
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