カルシウムは体重の約2%を占め、そのうち99%が骨や歯の中に不溶性のハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)として存在し、残りの1%が、脳、血液、筋肉、臓器に細胞内外に割合自由に行き来できるような状態で存在しています。カルシウムは、細胞機能、生理機能において重要な働きをしています。
皮膚ができる角化という重要過程で、角化細胞の細胞膜が表皮トランスグルタミナーゼと呼ばれる酵素によって厚くなります。この酵素は表皮の顆粒層でカルシウムと協力して厚い細胞膜を作り丈夫な皮膚を形成します。
表皮の角層細胞は、体の他の細胞と異なり、厚く丈夫で細やかな細胞膜を持つことで角層はキメも整い、適度な水分・油分を含み、外部から肌を保護するバリア機能も高いものになります。不完全な表皮であれば、肌に水分を保つ時間は短くなり、外部からの影響も受けやすくなってしまいます。厚い細胞膜を作るためには、表皮にある酵素(トランスグルタミナーゼ)の働きを助けるカルシウムをいかに摂取するかがカギとなってきます。
牛乳を飲むと血中のカルシウム濃度は急激に増えるのですが、体は血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする働きがあるため、血中の過剰なカルシウムを尿により排泄してしまい、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまいます。一方、小魚、海藻、野菜たっぷりのみそ汁などはゆっくりと血中のカルシウム濃度を上昇させるためカルシウムを上手く摂取する理想的な食物と言えます。
食物などで補う場合、カルシウムは消化管で吸収され、血液を経て、皮膚で真皮の毛細血管から染み出し、表皮の基底層、そして十数層にも及ぶ有棘層を通り抜ける必要があります。ようやく顆粒層に届くカルシウムの量は極わずかです。そのため、皮膚から直接カルシウムを吸収することが最も効率的な手段と言えます。
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