アトピー性皮膚炎、にきび、花粉症、抜け毛など体の表面に生じた変化には、人は比較的敏感に反応します。また、現代の栄養学はプラスの考え方が中心です。つまり、体内に必要なビタミンやミネラルが欠乏しないようにしようといった考えです。これは、飢餓と欠乏の時代が長く続き、そのために命を失うものが大変多かったためと考えられます。最近は、食の環境は豊かになり、過剰摂取の時代であり、現代病ともいえるメタボリックシンドロームやアレルギー症状(花粉症、アトピー性皮膚炎)の方が多く見られます。過剰に摂取された食物により胃腸は過度の負担を受けています。プラスすることばかり考えていても消化、吸収する胃腸の働きがしっかりしていないと効果がありません。胃腸の処理で生じた老廃物や毒素(食品添加物、残留農薬など)を上手く排泄することも考えていく必要があります。
便、尿、汗により体の毒素は体外に排泄されます。「便」は大腸で作られます。その主成分は食べ物の残渣物(残りカス)と腸内細菌の死骸、新陳代謝によって剥がれ落ちた腸壁の細胞です。老廃物の排泄が上手く行われると、全身の血液中の老廃物も排泄され、腸で吸収された栄養素はきれいな血液によって隅々まで行き渡ります。排泄がスムーズに行われないと必要な栄養素が全身に供給されなくなるためめまい、疲れやすい、眠気、アレルギーなどが起こりやすくなります。
食事量が多いと胃腸の処理で生じた食物残渣や細菌類を収容するために、腸管が横に膨らんだり、長く伸び変形してしまい、「停滞便(宿便)」となります。腸壁が膨らんで出来たポケットのようなくぼみを「憩室」と言います。憩室に宿便が溜まると排泄はより困難なものになります。腸管が膨らむと蠕動運動は難しく、腸が麻痺したようになりお腹がはって苦しむこともあります。また、蠕動運動が必要以上になると、腸管の筋肉が鍛えられ厚く大きくなり腸管内が狭くなることもあります。狭くなると排泄はスムーズに行われずに宿便となります。一部の便秘薬は、蠕動運動を亢進させて排泄させる効果があり、常用していると効き目が弱くなるのはこのためです。
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